危機管理意識が低いと言えば 5年ぐらい前、オイラともう一人だけで受託開発とインフラ管理をやってて死にそうだった頃・・・
その同僚の近所のラーメン屋さん 「どさん子ラーメン」 は以前から気になっており、その日も 「ちょっと偵察」 というノリで店先の階段を数段登ったものの何故か引き込まれてしまい、気づけばカウンター席。
L 字型のカウンターのうち片方の辺(というかそこら辺一帯)は荷物が積み重なっていて座れない・・・
厨房の中に設置されたリクライニングシート(膝かけ付き)から起き上がったオヤヂの頭は羽を広げた孔雀のような寝ぐせ。
オヤヂがこっちに歩いてくる。どうやら最新式の調理ロボットではなさそう。
オヤヂが言う。「何になさいますか?」
メニューとかもらってないから 「何ができますか?」 って聞き返す。
オヤヂが答える。「味噌とか塩とか醤油とかできますよ」
メニューとかもらってないから 「メニューはありますか?」 って聞き返す。
オヤヂが答える。「メニューはないですが、、、あそこにあります、、、ってあれじゃ見えないですね、ハハハハハ」
指差す先には観葉植物。の後ろ、壁に床から腰ぐらいの高さにメニューが張り付いている。観葉植物で見えないんじゃなくて(それもあるけど)紫外線で漂白されてほとんど見えない。
二人が注文する。「じゃ、味噌ラーメンで」
どれを選んでも危険だと思うけどね。

ここでふと気づいた。この店は普通のラーメン屋さんと違う。
リクライニングシートとか孔雀の羽根とかじゃなくて、、、湿気、そう、湿気がない。つまりお湯を沸かしてない。
中華鍋に水を張って火にかけるオヤヂ。即席麺作るんか?
オイラたちの目の前の業務用冷蔵庫から野菜を選び取るオヤヂ。危険な香りのする野菜。。。
んでお湯が沸いてくるにしたがって目がシバシバとしてくる。瞬きの回数が多くなる。お湯? いや、おそらく中華鍋だ。ホントにヤバさを感じ始める二人。
今すぐ店を飛び出したい気持ちを抑えるためカウンターに置いてあったマンガ雑誌を読む。少し読んで異変に気づく。1年以上前の雑誌。。。てか最新の雑誌がない。
オヤヂがラーメンを持ってくる。「へい、おまち」
二人ともこうべを垂れる。その視線の下にラーメン。
いくつかのキャベツ片と、何本かのもやし。(もやしは痛むの早いんだぞ、コラ)そして 2〜3個の玉ねぎの欠片。
下を向いたまま応える二人。「あ、ありがとうございま〜す」
下を向いたままのちょうど頭頂部あたりのレーダーが何かを捉えたまま警告を出す。
おそらく二人の真正面にオヤヂがまだいる。
ラーメンを置いてもまだ立ち去っていない。
おそらくこっちを見てる。
オイラたちが一口食べるまで立ち去らないつもりか?
仕方ないので箸をとって同僚に渡す。オイラの分もとる。割る。とりあえず一口スープ飲む。
まずっ
てかうすっ
お湯にほんの少しの削り節を入れて味噌入れた汁みたいな感じ。
んでおそらく中華鍋の鍋肌から剥がれ落ちたと思われる、幾つかの黒くて小さな何か。
頭頂部のレーダーが再び警告を出す。
オヤヂが動いた。サンダルの音がした。やっぱりそこに居たんだ。やっぱり食べるまで見つめられていたんだ。
とりあえず麺をある程度食べ、アイコンタクトをして立ち上がり勘定。
「いくらですか?」
「600円になります」
たかっ

そのあとコンビニでカップラーメンを買って反省会。
オイラたち二人が一緒に死んでしまっても大丈夫な組織を作ろうかって。